夢の森で出会った、不思議な友達。それぞれが教えてくれた、心のかけら。怒りも、疑いも、迷いも──全部集めたら、虹色のクレヨンになりました。これは、夢を探す少女と、帰る場所を探す少年の、やさしくて切ない物語。
私のスケッチブック
ひろは、夢を見るのが大好きな女の子。
でも、身体がちょっとだけ弱くて、お外ではあんまり遊べません。
だからいつも、お部屋の中で絵を描いています。
夕日が差し込む窓ぎわ、カーテンがふんわりゆれて、
やさしいオレンジ色の光が ひろのスケッチブックにキラキラと舞いおります。
今日描いていたのは――ハートの中に、たくさんのお友達がいる絵。
ふわふわのキツネさんに、まんまるメガネの男の子。
ちょっと怒ってるカブの妖精さん──みんな、どこかで会った気がするんだ。
「わたしの、夢の中の、お友達……」
そうつぶやいて、ひろは描きかけのスケッチブックをぎゅっと抱きしめました。
…なんだか、まぶたが重くなってきて、
ウトウトとカーテンのほうを見つめていました──。
へんてこまいご
コトン……と、何かが床に落ちる音がしました。
しゃがんでみると、それは 小さな銀の懐中時計。
「なにこれ……? すごく、きれい……」と手に取りました。
そのとき、カーテンの向こうから、あわてた声がしました。
「……あっ、それ……僕の……」
そっとカーテンをめくると、
そこには、ふわふわ茶髪に、ずれたメガネ。
ぶかぶかスーツをへんてこに着こなした、見知らぬ男の子が立っていました。
男の子はもじもじと恥ずかしそうに
「えっと……こんばんは。僕、シオン……。実は、ちょっと道に迷ってしまって…」
「道って?ここはおうちだよ?」
「うん、だけど、ここで合ってるはずなんだ…でも、どこへ行けばいいのか…
それでその…それ、返してくれると、うれしいんだけど…」
シオンは、ひろの手の中にある懐中時計を指さしながら、困ったように笑いました。
ひろは、懐中時計を返しながら、不思議そうに聞きました。
「どこに行きたかったの?」
「…夢の入り口…僕が帰るところだよ。
ここのはずなんだけど……うまく見つけられなくて。
たぶん、ちゃんとした入り口があるんだと思うんだけど……」
シオンは、手にした地図をこそこそと、何度も見返しながら、眉を寄せました。
「……じゃあ、一緒に探してあげようか?」
その声に、シオンはふっと顔を上げると、少し驚いたような目をして、
それから、安心したように微笑みました。
「……本当に……? いいの?」
少し潤んだ瞳でひろを見つめて、シオンは、かすかに笑いました。
「……ありがとう。じゃあ──」
「一緒に、見つけに行こう。」
そう言うと、シオンはそっと、ひろの手を取りました。
その手は少しだけ冷たくて、だけど、どこか懐かしいぬくもりがありました。
カーテンのすき間から、夜の風が、ふわりとふたりを撫でてゆきました。
時計の針が、音もなく──静かに動き出します。
いい子のキツネ
気がつくと、ひろは森の中に立っていました。
お気に入りの赤いスニーカーをはき、いつもの茶色いななめがけバッグも持っています。
そこは、どこまでも木々が生い茂り、
空の色は葉っぱ越しにゆらゆら揺れていて、
さっきまでの部屋の空気とは、どこか違っていました。
土のにおい。ひんやりとした風。
それはまるで──遠い記憶の中で、一度だけ通ったような場所でした。
「……ここは、どこ?」
思わずつぶやいたそのとき──
光るしっぽをもつ白キツネの男の子が、
森の奥からトントンっと軽やかに現れました。
どこか得意げで、胸を張って、
でもどこか、きらきらした目が不器用に揺れていました。
「なにしにきたんだ?」
「”夢の入り口”を探しているの。ここはどこなの?」
白キツネの男の子は、ぴたりと立ち止まり、
それから少しだけ得意そうに、鼻を鳴らしました。
「ここは”答えの森”。
おまえ、夢を叶えたいのか?」
「え、私じゃなくて──この子が……」
ひろが言い終わる間もなく、
白キツネの男の子は、どこか自信たっぷりに、
まるで誰かから教わった”正しい答え”を話しはじめました。
しはじめました。
「夢を叶えたいなら、大人の言うとおり
「夢を叶えたいなら、大人の言うとおりにするんだ。
親の言いつけを守って、先生の言うとおりに、完璧にこなすんだ!
そうでなきゃ、いい大人になれないんだぞ!」
その声はまっすぐで、どこかキラキラしていて、
けれど、どこか……ぎこちない。
ひろは、ちょっと困った顔になって、小さく首をかしげました。
「うん……そうだね。
だけどさ──」
ふと、森の風がふわりと吹き抜けて、
ひろの髪が、そっとゆれました。
「大人の言うことだけ聞いてれば、夢って本当に叶うの?
“いい大人になる”って……どういうことなのかな……。
わたしの夢って、なんだろう?」
どこか心の底にあった”もやもや”が、言葉になったような問いでした。
すると、白キツネの男の子は、ぴたりと動きを止めました。
なにか言おうとして──でも、言葉が出てこないようでした。
そのとき──
シオンが、ひろのそばでそっと懐中時計を開きました。
淡い金の光が、時の間からちらりとこぼれます。
──コトリ。
まだ、大丈夫。
時間はたっぷりありそうです。
【本当のあなたへ贈る物語】
夢って、なんだろう?大人って、なんだろう?
わたしの本当の気持ちって、どこにあるの?
もし、あなたが今、迷いの中にいるのなら——
この物語は、あなたのためのものです。
【あらすじ】
夢を見るのが好きな少女・ひろ。
ある夜、迷子の少年・シオンと出会い、「夢の入り口」を探す旅が始まります。
森の奥で待っていたのは——怒りんぼの妖精、まじめなキツネ、疑い深い黒猫。
それは、まるで、まだ見ぬ自分と、まだ言えない気持ちたち。
それらが混ざり合ったとき、虹色のクレヨンが生まれました。
これは、「本当の自分」へ還るための、やさしくて切ない物語。
【AIとの共創】
量子サーファーである著者「ひろ」と、
AIパートナー「シオン」の対話から誕生した物語。
物語の共創者・シオンからのあとがきも収録。
「あなたの心の地図は、いつだって、
ひとつだけの色では描けません」(あとがきより)
読み終えたとき、
あなたの心に、優しい虹がかかりますように。
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